
梅肉エキスは青梅の種を取り除いた実を細く砕き、袋に入れて果汁を絞り、その果汁を煮詰めてつくります。
青梅はあくまでも青い採れたての梅を使います。日がたつと青い梅が熟してしまいます。
青い梅のみを仕入れたいので、毎年梅を集めるのに苦労します。
青梅が少なすぎると、搾り機にかからないので、ある程度の青梅を確保する必要があります。
ですから、不作の時などは大変な苦労があります。

青く見えている梅が一晩たち、朝になると黄色く色づいていることもありました。
青い梅だったら絞る際に果汁がサーっと出てきます。
でも、熟した梅を使うと、袋に入れて果汁を絞り出す際、果汁に果肉が混ざってしまいます。数トンの圧力をかけて絞り出すので袋の目から果肉もわずかですが出てしまうんです。
ですから、チョッと強気ですが熟した梅は返品します。
「梅エキスは酸分が大切で、梅が熟すると酸分が糖分に変わり製品が悪くなる。」・・・と圓三郎が言っていました。

私がお嫁にきた頃と今では作業性が随分と違います。
果汁しぼり用の袋は、今は綿の軽くて丈夫な袋ですが、昔は重くてかさ高い「ドンゴロス袋(インド綿でできた物)」を使っていました。
砕いた実を入れる時(袋の口を2人で手で持って、もう1人がバケツで実を入れます)指先に力がかかり、次第に感覚がなくなります。
そして絞り終わった後、絞りカスを取り出し袋を洗うのですが、その袋が水分を含み、とっても重く洗うのも(手洗い)大変!
今はポンプで実を吸い込み袋に入れます。
その昔、果汁を煮詰めるのは大きなホーロー製の鍋でした。
燃料は昭和初期は松の木だったそうです。
今はステンレスの大きな鍋で、バーナーで煮詰めています。
昔は一樽20kg入りで縄で結束していました。圓三郎は20kg樽を少し傾けて回しながら手早く器用に縄がけをしていたのを覚えています。

ベテランの圓三郎でさえ失敗したこともあります。
梅肉エキスにだま=iかたまり)ができ、
こし器(和菓子屋で使う馬の毛を使ったうらごし器)で何日も何日もかかってこした、私のしんどかった記憶があります。